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Book

実録・外道の条件

 町田康のエッセイモノはなんだか分からないうちにどんどん読めるという、引きずり込まれるような面白さがある。そして、正月休最後の日、私は暇にかまけて一冊の本を手にしたのだ。それが町田康の「実録・外道の条件」である。

 実は、あてもなく外出したのだった。そしてふらふらとほつき歩くうちにふと町田康の本が読みたくなった。が、生憎と家に置いたまま持たずに出かけてしまったらしい。我ながら随分と間の抜けた話である。そして仕方なしにと言いながらその実「何が仕方ないのだかさっぱりわからん」と自身に疑問を抱きつつ、古本屋に行ったのである。そのまま帰って寝てればいいものを、思ったか思わなかったかはもはや思い出せない。
 その古本屋で見つけたのが「実録・外道の条件」であったわけだが、この本では何を綴っているかというと「町田が今まで仕事してきた中で、不幸にも関わってきた外道ども」についてである。実際問題このような輩がいたのかどうかわわからない。実在しようと、或いは虚構であったとしても、そこに出てくる外道どもは実際そこかしこにいそうな奴らであるので恐ろしい。
 そして、そんな外道どもを、町田康はいつものように、これでもかと書き連ねてくるのだ。いつもの小気味良いテンポと、卓越した言語感覚と、訳のわからない町田ワールドで綴られているのである。結果として、年始から山手線をぐるぐる回って読書に勤しむ謎の人という所業を成してしまったのであるがまあそれもまた良かろう。

 と、やっと読みきって満足した本を、こうやって紹介しようと書き連ね、リンクも貼って、やっとこさできたかなと思ってみたら。なんとつい最近角川文庫から文庫版で出たというではないか。お値段460円。自分古本屋で500円で購入したのである。なんだか少し悲しくなった。そんなわけで今なら460円で出来の悪いテーマパークのような、独自の世界観を持った書物に出会えます。
2005/01/07 Fri 21:43 | - | -